【出品思案中...熊谷守一[花神]紙本・墨】
熊谷守一
【花神】紙本・墨
本紙 : 53.4×35.5cm
世界文化社刊 【無一物】熊谷守一の書 所載作品(20頁)
鑑定証:熊谷守一水墨淡彩画鑑定登録会
熊谷守一の筆による「書」で、字面は花の神様という意味の「花神」です。
繊細で細やかな筆の運びに熊谷守一の美意識が感じられる逸品です。
ところで「花神」とは、
司馬遼太郎の作品で後にテレビドラマ化されてもいますが天才戦略家として明治維新の礎を築きながらそれを見届けることなく終わった大村益次郎の生涯を描いたもので、同じ【花神】と題されたものがありました。
一方で中国においては【花神】は花咲爺(はなさかじじい)を意味し野山に花をもたらす神の総称だそうです。
守一は恐らく後者を意識してこれを揮毫したのではないでしょうか。
第一印象は、簡潔で静謐な世界観です。
しかしその後にはまさしく「花」に溢れた美しい世界が広がっていくような情景を想像してしまいます。
きっと守一は、あえて、このふたつの文字にそれらを収斂することにしたのでしょう。
昨年、お客様からお譲りいただいたのですがウィークリーオークションに出品しようかどうか身を捩りながら悩んでおります。笑