LINE査定

お問い合わせ

額装の話

2021.01.15  兄ブログ

今とても人気のある藤田嗣治の作品ですが、今回は作品ではなくこちらの額装についてのお話です。

まずはじめにこの作品を眺めたときにみなさんはどんな印象を受けますか?

作品はもちろんですが額装に強いインパクトを感じられるのではないでしょうか。
人によってはうるさく感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

その原因となっているこの額、とくにマット(作品の周りを囲んでいる枠)についてお話をさせていただきます。このマットに用いられている生地は「ジュイ布(Toile de Jouy)と呼ばれるものを意識して作られたものではないかと私は感じています。

ジュイ布とは18世紀後半にパリ郊外の町ジュイ・オン・ジョザスの工場で作られたプリント生地のことを指します。そこにはのどかな田園風景の中、牧人や農夫、語らう男女、狩りや季節の行事を楽しむ人々と動物たちが描かれています。

17世紀後半、東インド会社からフランスにもたらされたインド更紗と呼ばれるエキゾチックな動物や見慣れない姿の人たちが描かれた綿布に強い憧れを持っていたパリの人々はそれに似たジュイ布に夢中になりやがてそれは凄まじいブームとなりました。

当時、すでにパリで活躍中だった藤田も、マリー・アントワネットを魅了しナポレオンをも感嘆させたとも伝えられているこのジュイ布をすっかり気に入ったようで、自身の代表作にもタイトルもそのままズバリな「ジュイ布のある裸婦(寝室の裸婦キキ)」パリ市立近代美術館蔵や「五人の裸婦」東京国立近代美術館蔵など作品の中にこのジュイ布を描いています。

著作権の問題もありそれらの作品の写真は挙げられないのでググってくださいね。(笑)

そんな中からもわかるように彼自身、このジュイ布に魅了されたひとりでした。

振り返ってこの作品の額装です。単色の濃淡によって描かれたジュイ布そのものではありませんが描かれているモチーフなどからしてそれを強く意識したものであるのは間違いないと言っていいでしょう。

この作品、藤田の絵は勿論ですが、本来脇役である額装も製作の背景やそこにたずさわった過去の所有者や職人に想いを馳せるだけで奥行きができてより一層を楽しめるような気がしませんか?

メニュー